非同期コミュニケーションのススメ
はじめに
コロナ禍により、日本でもテレワークが広がりました。そもそも通勤などの物理的人流を抑える効果を狙って推進されたテレワークですが、実は「働く時間」を柔軟に選択できるメリットもあります。しかしながら、相変わらず同時間帯にWeb会議を行ったり、テレワークでありながら定時での勤務を指示したりといった時間の柔軟性を阻害する労務管理が多く行われています。以下、テレワークの「時間を選ばない」メリットをもっと活用するためのポイントを考察します。
労働時間の細分化
例えば小学校低学年までの子どもを育てる女性にとって、働く時間の柔軟性は重要です。日中は基本的に子どもの都合を優先することになるため、他人の都合に合わせた会議などの時間拘束には馴染みにくいでしょう。逆に言うと、子育ての合間の細切れ時間を主体的に選べる働き方であれば、育児との両立がしやすくなります。電話や対面による同期的コミュニケーションを「非同期コミュニケーション」に変えていくと良いでしょう。例えばオフィスワークであれば、LINEやSLACKなどのメッセンジャーアプリや、チャットワークなどのチャットアプリを用いて「ちょっと時間がある時に確認できる仕組み」を導入してはいかがでしょうか。併せて非同期コミュニケーションに適したデバイスを備えることも重要です。例えばスマートフォンを貸与することで非同期コミュニケーションが円滑になるのであれば、テレワーク効率を上げるための投資として十分検討に値します。
タスクの細分化
非同期コミュニケーションでやりとりするならば細分化された「小さなタスク」の方が適しています。これまで会議で複数の議題を話し合ったり、長文のメールに複数の要件を入力して送ったりしていたものを、短文で1件ずつやりとりする方法に変えてみてはいかがでしょうか。この際、タスクのサイズをどのように設定するかがポイントになりますが、例えば「15分」で完了できるサイズのタスクであれば、ちょっとした空き時間や電車移動時間などでもこなすことができます。なお、メッセンジャーアプリ等で短文のやりとりをする場合、それぞれのタスクにわかりやすい記号や文字列の入力をルール化するとよいでしょう。その方が後から見返すときに検索しやすくなります。
繋がらない権利への配慮
非同期コミュニケーションにより四六時中仕事の連絡が来る状況を好まない人もいます。労働者の「繋がらない権利」に対する配慮はもちろん必要ですが、一方で非同期コミュニケーションの「好きな時間に仕事ができる」メリットを邪魔し過ぎないように気をつけなければなりません。
非同期コミュニケーションの意義、繋がらない権利に関する企業の考え方などを説明するガイドラインを作って、非同期コミュニケーションに対する共通認識をしっかり作っていきましょう。(例:深夜22時以降は連絡をしないルールにする、勤務時間外には通知をオフにすることが保障されるなど)
<来年度の法改正> 令和4年3月10日現在
- 育児介護休業法改正 令和4年4月1日及び令和4年10月1日
- パワハラ防止法の改正 令和4年4月1日(中小企業のみ
- 女性活躍推進法の改正 令和4年4月1日(従業員数101人以上300人の企業)
- 健康保険法、厚生年金法改正 令和4年10月1日
週20時間以上の社会保険適用拡大(対象者101人以上の企業)
- 道路交通法の改正 令和4年4月1日
5台以上の社用車を保有している企業は、運転前後においてアルコールチェックなどの管理を行う必要があります。
- 個人情報保護法の改正 令和4年4月1日
①本人の請求権の拡充等
②事業者の義務・公表等事項の追加
③新たな情報類型の創設
④新しい個人情報保護団体による認定の制度化
⑤ペナルティの強化
⑥外国事業者関係の規制強化
- 年金関係
①在職老齢年金制度の改正 令和4年4月1日
②支給開始年齢の引き上げ(70歳から75歳へ) 令和4年4月1日
③確定拠出年金の適用拡大、加入年齢の引き上げ 令和4年5月1日