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働き方改革が推進される中、非正規社員の賞与・退職金不支給を違法とする判決が続いています。

メルマガ情報 2019.05.17

働き方改革が推進される中、非正規社員の賞与・退職金不支給を違法とする判決が続いています。

労働者側からすると嬉しい傾向ですが、企業側にとっては心配です。今回の判決がルールとして定着するのか、判決の内容と今後企業が注意すべき点について解説します。

【裁判事例1】

 注目すべき判決の1つ目は平成31年2月15日の大阪高裁判決です。この事件は大阪医科大学の研究室秘書のアルバイト職員(50歳代女性)が正社員と同等の仕事をしているにも拘らず、賞与等や休暇制度の待遇差が違法とし、争ったものです。判決では、大阪医科大学で正社員に支給されている賞与が年齢や成績と連動しておらず、一律で支給されている一方でアルバイト職員に賞与が一切支給されていないことを違法と認定しました。また正社員に認められている夏季特別休暇・病気休暇の有給賃金がアルバイト職員に支給されない点も不合理と認められ、差額の支給を命じました。

【裁判辞令2】

 2つ目は平成31年2月20日の東京高裁判決です。この事件は、東京メトロ子会社(メトロコマース)の売店員(契約社員)らが正社員と同じ業務をしているのに、正社員との間で基本給・賞与及び住宅手当や退職金等の手当の待遇に差があることを違法とし争ったものです。判決では、正社員(勤続10年以上)に支給される勤続褒賞や退職金等の勤続に対する功労的報償の性格を有する手当を一切支給しないのは違法としました。一方で、基本給・賞与については労働条件の差異を認め格差を容認しました。

【ポイント】

 今回の判決のポイントは「功労に報いる意味合いの賞与や退職金」です。前述の2つの裁判では「正規社員にのみ賞与・退職金を支給することが違法」とされましたが、内容からは「賞与や退職金が功労に報いる性格のものであるなら、パートやアルバイトにもいくらか功労があるだろう」という判断が読み取れます。  また手当に関しては、住宅手当、休暇制度等「仕事の責任や職務内容により差異を付ける必要性がないにも拘らず正社員にのみ支給している」ことを違法としました。  しかし、正規と非正規に同額の賞与・退職金、手当を支給することを義務としたわけではなく、責任や仕事量の違いに応じて金額を調整することは認められています。

【今後の影響と対策について】

 両裁判とも高裁判決であり、おそらく最高裁まで争われることになるでしょう。ただ、今後ますます正規雇用と非正規雇用の格差について権利意識が強くなり、非正規=各種手当・賞与・退職金ゼロという「当たり前」は通用しなくなりそうです。賞与・退職金や手当に格差を設けている場合、見直しを検討してみてはいかがでしょうか。

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