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中小企業(従業員数50人未満)のストレスチェック義務化について

メルマガ情報 2025.05.31

 

■はじめに

ストレスチェック制度は2015年12月より、従業員数50人以上の会社に義務付けられてきましたが、50人未満の会社については努力義務とされていました。しかし、近年の精神障害による労災認定件数の増加や、長時間労働、パワーハラスメントなどを背景とするメンタルヘルス不調者が増加しています。これを受け、従業員数50人未満の会社も義務化の対象となる見通しとなりました。具体的な内容について解説します。

 

■ストレスチェックとは

ストレスチェックは、労働者の心理的負担の状況を把握する目的で、年1回以上実施することが労働安全衛生法で義務付けられています。医師・保健師などの実施者が質問票(質問項目例は下記の通り)を用いて行い、結果は本人に直接通知されます。

高ストレスと判定された労働者が希望した場合は、医師との面接指導を実施し、必要に応じて職場環境の改善措置を講じる必要があります。

今回の法改正では、企業規模を問わずすべての事業場において、ストレスチェックの実施義務化が盛り込まれています。50人未満事業場への導入は2028年まで段階的に進められるとされています。

主な質問項目の例(簡易調査票より抜粋)

【仕事の負担・量】
・仕事の量が多すぎると感じる
・時間内に仕事を終えるのが難しい

【職場の人間関係】

・上司から十分に支援を受けている
・職場で孤立していると感じる

【仕事のやりがい】

・自分の仕事に満足している
・仕事が社会に役立っていると感じる

【身体・精神の反応】

・最近、眠れないことがある
・気分が落ち込む日が多い

 

■ストレスチェック実施の課題

【 実施コストとリソース 】
ストレスチェックは、医師や保健師などの専門職による実施体制が必要です。しかし、産業医が配置されていない事業場では外部委託が前提となるため、費用負担や事務負担が中小企業にとって重い点が懸念されています。

また人手が十分でないために、ストレスチェックの結果を受けても配置転換ができないなどの問題も予想されています。

【 個人情報保護 】
中小規模の事業場では、従業員数が少ないがゆえに、ストレスチェックの結果から個人が特定されやすくなるという問題があります。たとえば「高ストレス者が1人」と判定された場合、実質的に誰かが容易に推察される環境も少なくありません。

このような状況下で、産業医面談の勧奨や職場改善の措置を進めようとすると、プライバシーの侵害や人間関係の悪化につながるリスクがあり、結果として制度そのものが運用しづらくなる可能性があります。

 

■継続的なストレスチェックを

高ストレス状態になった労働者には、「身だしなみの乱れ」や「遅刻の増加」などの変化が起こると言われています。今回のストレスチェックの義務化によらずとも、普段から異変を早期に察知できるような観察や声かけを管理者は意識していきましょう。

 

外国人雇用の基本

 

■はじめに

日本に在留する外国人には、それぞれ「在留資格(ビザ)」が付与されており、この資格によって「就労可能か」「どのような職種で働けるか」が厳格に定められています。この確認を怠って外国人を雇用すると、雇用主側にも刑事・行政上の責任が及びます。以下、外国人雇用の基本的な制度について解説します。

 

■在留資格

在留資格は大きく以下の3つに分類されます。

①就労が可能な在留資格
(例:技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能)→ 職種が限定されており、指定された範囲外での労働は不可

②就労が原則不可の在留資格
(例:留学、家族滞在)→ 後述の「資格外活動許可」を得ることで、一部の就労が可能になる

③就労制限のない在留資格
(例:永住者、日本人の配偶者等、定住者)→ 職種に制限なく、一般の日本人と同様に就労が可能

企業が外国人を雇用する際は、在留カードやパスポートの確認を通じて、就労可能な資格かどうかを必ず確認する必要があります。

 

■留学生の資格外活動と労働時間上限

「留学」の在留資格を持つ外国人は、本来、学業専念を前提とした資格のため、就労はできません。ただし、「資格外活動許可」を得ていれば、原則週28時間以内(長期休暇中は1日8時間以内かつ週40時間以内)の範囲で就労が可能です。なお、注意点は下記のとおりです。

・無許可での労働は不法就労に該当
・許可があっても原則週28時間を超えると違法
・風俗関連業務など一部分野は禁止

留学生をアルバイト等で採用する際は、在留カードの裏面に資格外活動許可が記載されているかを確認し、シフト時間が週28時間以内かどうかを管理することが非常に重要です。

 

■特定技能1号・2号とは

2019年の入管法改正により、新たに創設されたのが特定技能1号・2号の在留資格です。これは深刻な人手不足が認められた分野において、一定の技能と日本語能力を持つ外国人労働者の受け入れを認める制度です。

【 特定技能1号の特徴 】
受け入れ可能な分野は介護、外食、建設、農業、宿泊など16分野が定められています。在留期間は最大5年(更新制)で、分野別試験に合格、もしくは技能実習2号を修了した者が対象となります。なお、家族の帯同は原則として不可とされています。

【 特定技能2号の特徴 】
特定技能2号は「熟練した技能を持つ外国人に与えられる在留資格」です。受け入れ分野は当初建設、造船のみでしたが、2023年から人手不足が深刻な外食・宿泊・自動車整備・ビルクリーニングなど11分野に拡大されました。1号との違いは在留期間に上限がなく更新可能であり、永住資格の取得や家族の帯同が認められている点などがあります。

 

■外国人を雇用したいときは

外国人雇用についての相談先は以下のものがあります。

  1. 行政書士→就労ビザ取得の相談対応、書類作成代行
  2. 登録支援機関→特定技能の受け入れ時の生活支援・入国後フォローなどの義務的支援
  3. 社会保険労務士→雇用契約書や雇用保険・社会保険の手続き

労働問題や人事制度、業務効率化で悩まれている経営者は、ぜひご相談下さい。

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