熱中症対策の罰則付き義務化について
■義務化の内容
熱中症対策に関する義務化の動向としては以下の通り検討されています。
【義務化が議論されている事項】 ① 報告体制の整備 ② 重篤化させないための必要な措置の実施手順(マニュアル)の作成 ③ 関係労働者への周知 |
【義務化の対象事業者】
義務の対象となるのは、「WBGT(暑さ指数)28度以上または気温31度以上の環境下で連続1時間以上または1日4時間以上の実施が見込まれる作業」をさせる事業者の予定です。この対象は、業種や作業内容、屋内外を問わないとされています。主に建設業や警備業、高温の工場内作業、外回りの営業などが想定されます。
【予定時期】
今年の夏に間に合わせるべく、2025年6月の施行を目指すことが示されています。
■初動対応への重要性
同省の分析によると、熱中症による死亡災害のほとんどが、初期症状の放置や対応の遅れが原因とされています。熱中症の「早期発見」「暑熱作業からの離脱」「身体冷却」「医療機関への搬送」などの初動対応がスムーズに行われるよう、マニュアル作成や周知を事業者に義務付ける方向で話し合われています。これには、熱中症の重篤化を防ぐ狙いがあるようです。
なお、具体的な熱中症予防策の例などは通達で示される予定です。
■具体的な対策
法改正も見据えた熱中症への具体的な対策として、例えば以下のような施策が検討できます。
■具体的症状の周知
現場の労働者が「熱中症の可能性」にいち早く気づくためには、熱中症の具体的症状(顔色や発汗などの客観的な症状、並びに自覚症状)の周知が効果的でしょう。文章だけでなく、イラストや写真、動画などを交えたポスターなどを掲示し、「熱中症の症状はどんなものであるか」を周知しましょう。
■初動対応のマニュアル化
効果的な体の冷やし方、水分補給、暑さを避けることのできる避難場所の周知、医療機関や現場責任者などの連絡先情報など、初動対応をしやすくするために必要な情報をマニュアル化してはいかがでしょうか。
■労働環境整備
暑さが一定基準以上の場合は、休憩頻度を増やす、塩分・水分補給のエイドステーションを設置するなどの労働環境整備も効果が見込めます。