松澤社会保険労務士事務所

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社員の独立と競業避止義務契約について

メルマガ情報 2022.06.02

競業避止義務とは

競業避止義務(きょうぎょうひしぎむ)とは、「競合企業への転職」「競合する企業の設立・独立」などの競業行為をしてはならない、という義務のことをいいます。多くの企業において、その知的財産や顧客の流出による損害を防ぐ目的でこの競業避止義務が定められています。企業側は違反者に対する懲戒や退職金の減額などのペナルティーを設定することで抑止を狙っています。

しかし、実際には在籍中はともかく退職した社員の行動を制限することは難しく、企業側が泣き寝入りとなってしまうことも少なくありません。以下競業避止義務のポイントについて解説します。

競業避止義務契約の有効性

競業避止義務契約の有効性を考える上で、経済産業省の調査による以下の判断基準が示されています。

①守るべき企業の利益があるか

まず独自のノウハウや営業秘密情報、「企業の名前で訪問を重ねた結果得られた顧客との人間関係」など、流出によって企業の利益が損なわれるものがあるかどうか、という観点で考えます。

②従業員の地位

競業行為を行った者が在籍時にどのような地位にあったかが考慮されます。これは役職など形式的な地位の高低というよりも、その者が在籍時に担当していた仕事内容によって判断されます。

例えばアルバイトであっても独自のノウハウを利用する仕事をしていた場合に競業避止義務契約の有効性を認めた判例があります。

③地域的な限定があるか

「退職後半径○km以内の場所で独立してはならない」などの地域限定が合理的なものであるかを考慮します。これは地域限定をしない場合は競業避止義務契約の有効性が認められないというわけではなく、仕事内容に合わせて合理的な絞り込みがなされているかという見方をします。

④競業避止義務の存続期間

競業避止義務が退職後どのくらい続くか、という判断基準です。判例では1年以内の期間については肯定的に捉えられている例が多く、逆に2年以上の競業避止義務は否定的にみられることが多いですが、年数に明確な基準があるわけではありません。

⑤禁止される競業行為の範囲について

                                                                         必要な制限があるか

「競業行為とは何か」を具体的に定めているかというポイントです。つまり、漠然と「同業他社への就職禁止」「同業者として独立禁止」という取り決めをするよりも、「在職中担当した顧客への営業活動を禁止する」など禁止対象となる活動内容を特定している方が有効と判断されやすいでしょう。

⑥代償措置が講じられているか

代償措置とは、「競業行為をしない代わりに得ていた金銭など」を指し、例えば独自のノウハウに対して「秘密保持手当」を支払っていた場合などを指します。

代償措置の有無は重要な判断基準とされやすい傾向にありますので、競業行為を制限したい場合はこれらの手当を検討しても良いでしょう。

労働問題や人事制度、業務効率化で悩まれている経営者は、ぜひご相談下さい。

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