松澤社会保険労務士事務所

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従業員シェアリング

メルマガ情報 2021.03.02

 

従業員シェアリング

法的な関係

従業員シェアリングの法的関係は「在籍出向契約」であることが多いでしょう。この場合、出向元企業との雇用関係を維持したままで、社員に出向先企業で働いてもらうことになります。似たような関係として「労働者派遣契約」がありますが、労働者派遣契約は派遣元とのみ雇用契約がある点で異なります。

賃金負担

在籍出向契約の場合の賃金負担については、法律的に定めがありませんので、企業間で話し合って決めます。先の緊急事態宣言時には、出向先企業に賃金負担をさせず、全額出向元負担とした企業もあったようです。逆に全額出向先が負担しても、両社がともに賃金負担をしても構いません。なお、出向元企業が賃金を一部又は全部負担している場合、「雇用維持のための出向」として雇用調整助成金の対象となります。

従業員シェアリングの展望

一見、この「従業員シェアリング」は、出向元企業、出向先企業、労働者ともに救われる優れた仕組みのように見えますが、もちろん現実的にはいくつかの大きな課題があります。

課題1:人材流出

出向した社員が優秀であるほど、出向を機に他業種からスカウトを受けて退職してしまうリスクが高まります。たとえ企業間の契約で厳格に引き抜き等を禁止したとしても、自己都合で退職する社員を留めるのは容易でありません。

課題2:専門性と教育

短期間の出向者に対して多くの場合専門性を求めることができないため、単純作業を任せることになります。また、時限的であるがゆえに受け入れ企業が積極的に社員教育をしないという問題もあります。既存の社員との軋轢が起きることも予想されます。

課題3:ビジネスモデルの変化

今回のコロナ禍によるテレワークや雇用調整は、「人を雇い過ぎていた」と企業に気付かせるきっかけにもなったという意見もあります。今後企業が雇用を減らしていくとしたら、真っ先に削られるのは「ロボットで代替できる単純労働」や、「一時的な出向者にあてがった仕事」になることが予想できます。

逆に従業員シェアリングが機能する場面を想像すると、「利害や損得を超えたコミュニティーの中のシェアリング」なのかもしれません。「竹馬の友」である経営者同士であれば従業員シェアリングによる助け合いがうまくいきそうです。また、趣味などのコミュニティーにおける連帯感を土台にして仕事を融通し合うことも可能でしょう。

 

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